寝違えの首痛から腕に痛みが走るようになってしまった
3年ほど前に当室で坐骨神経痛が改善したMさん(40代男性会社員)
その後は腰の方はまずまずで、休日などにはテニスやロードバイク・ゴルフを楽しんでいたそうです。
最近は仕事もデスクワークの比率が高くなり、右肩のコリを感じるようになっていたところ、1カ月ほど前から寝違えのような首痛になってしまいました。
これまでだと数日で痛みが取れていたそうですが、今回は回復が思わしくなく、先日からは首を動かすと右腕に痛みが走るようになってしまったそうです。
初回来室時の痛みは
首の右向き左向きで首から右腕にかけての痛み、
特に左向きになると痛みが強い、
普段デスクワークや車の運転で右腕が重く痛くなる、
でした。
初回
細かく検査していくと、骨盤の動きは硬く腰椎も弾力が失われています。
右肩の可動範囲は制限され、前腕は緊張が強くなっています。
仰向けになると右腰に違和感がありました。
最初にひざ倒し(操体)で右腰の違和感を緩和させます。
以前のおさらいになりますが、左右の動きを確認し楽な方・気持ち良く倒せるほうに膝を倒し、術者側で補助抵抗をかけていきます。
2回程行うと仰向けでの右腰の違和感が軽減したので、体幹の循環を高める操法をしていきます。
だいぶ疲れがたまっているのか、ロングバージョンでの操法となりました。
一度ここで再確認です。
あお向けでの首の動きを確認すると
仰向けでの左向きでの痛みは「だいぶ楽です。」
座位での確認でも、骨盤の動き・腰椎の弾力・肩の動きとも改善しています。
が、座位では首を左向きにしての、右肩から腕にかけての痛みは残ります。
ここからは座位での施術です。
先ず首の関節動作法で痛みの確認です。
「やってもらっている時は楽になりますが、
手を放して確認すると痛みが戻ります。」
胸椎でも同様でした。
次に鎖骨の調整。
「これもやってもらっている時は楽です。
確認でも首は大きく振り向けるようになってますが、
最後の所で右腕に痛みが出ます。」
鎖骨や胸郭の影響が強そうです。
今回は深追いせずにここまでとし、セルフエクササイズをおさらいして次回としました。
先ずはしっかり身体の循環力を高め、疲労の取れる身体になりましょう。
2回目(4日後)
「まだ痛みはありますが、前よりも大分動かせるようになりました。」
姿勢に気をつけ、セルフエクササイズなどを行って、首の可動範囲は大分広がっていました。
現在は首の痛みよりも右腕の痛みが気になります。
仰向けで循環を高める施術を丁寧に。
循環を高める施術の後は、症状の出易い座位で施術を進めます。
左を振り向くと
「最後向ききった時に右腕にビリッときます。」
鎖骨・胸郭を施術すると
「ゼロじゃないですけど、さっきよりは良いです。」
鎖骨の動きを調整すると、右腕の痛み茂れ感が軽減するようです。
今回もあまり深追いはせずに、セルフエクササイズをおさらいして次回としました。
3回目(1週間後)
「振り向いたときの首の痛みはほぼ取れたんですけど、振り向いたままいると、右腕がじわーと痛くなってくるんです。」
当初の寝違えの「ピリッ」とした痛みは大分治まったそうですが、左に振り向いたままでいると右腕に痛みが出るそうです。
右肩周辺はコリも強いと云っていたので、何か別の問題があるのかもしれません。
いつものように体幹の循環を高め、疲労を取って行きます。
循環を高める操法もショートバージョンで取れるようになってきています。
座位で首の可動痛が取れたのを確認してから、少し左を向いていてもらうと20秒くらいしてから
「じわーと右腕に痛みが出てきます。」
左振り向きの他、右腕を水平くらいにあげていると、同様の痛みがあるそうです。(車の運転時など)
右半身を中心に原因を探って行きます。
肩、肘、手首...
鎖骨下付近で圧痛が見つかりました。
この圧痛を筋ゆるで緩和していきますが、なかなかしぶとく圧痛が残ります。
ちょうど胸郭出口の付近のため、胸郭出口症候群などで多用する肋骨挙上をしてみると
「だいぶイイです。」
鎖骨下の圧痛が取れると左を向いていての、右腕の痛みはかなり緩和してくれます。
デスクワークなどで右肩は屈曲・内旋した状態で、胸郭出口周辺を窮屈にしていたために、このような症状となったのかもしれません。
座位での肋骨挙上の体操をおさらいして次回としました。
結果的にこの胸郭出口を広げる操法・セルフエクササイズが右腕の痛み軽減のキーポイントになり、計6回の施術で症状の再発もなくなりました。
以前の坐骨神経痛の時よりも痛みが早く取れて、Mさんもほっと一安心と喜んでくれました。