スポーツ外来で鵞足炎(がそくえん)と云われた中学生 1
2016/04/05
3週間くらい前から左足の膝から脛の内側に痛みが出るようになり,病院のスポーツ外来で鵞足炎(がそくえん)と云われた中学生のK君。
彼もやはり部活のバスケと陸上大会が重なり発症したようです。
数か月前には右足首の捻挫もあって,来室時も足首の伸展時に痛みが残っていました。
病院では湿布をもらいましたが痛みが取れません。
現在は痛みを我慢し足を引きずりながらバスケをしているそうです。
来室時の症状は
左足すねの内側に圧痛がある、
膝の屈曲で左足すねの内側に痛みが出る、
ジャンプの予備動作で膝を曲げると腓骨小頭に痛みが出る、
その他に右足首の捻挫の後遺症で伸展時痛がありました。
最初に右足首の伸展時痛を取ってしまいます。
足首の捻挫はとりあえずの痛みが取れると治ったと考えがちですが、痛みや可動制限が残るとその後に膝痛や腰痛の原因になることもあるので、あまり甘く見ない方がよいです。
足首の関節動作法で痛みを取りましたが安定しないようなので、足首を締めてみると安定してきました。足首に弛みが残っていたようです。
次に左すねの圧痛を取って見せながら
「鵞足炎ッて云われても痛みが取れる」ことを実感してもらいます。
組織復元法で圧痛を軽減してみます。
軽ーく軽ーく掛けていくと押しての痛みが軽減してきます。
「この軽さ加減を覚えておいてね」
途中からK君自身で圧痛を取っていきます。
付き添いのお父さんは不思議そうに、
「それで痛みが軽くなるんかい」と聞いています。
次に下肢の歪みを調整していきます。
大腿部を横引きしながら緩めます。
脛骨腓骨は締めながら捻じれを取り、外踝を挙げていきます。
この状態をサラシなどで固定していると、先程までの膝の屈伸やジャンプ時の痛みが大幅に軽減します。
「これが安定するようになれば練習をしても痛くならないからね」
次に
体幹の循環を改善して歪みを取っていきます。
お父さんは「あれだけで歪みが取れるんですか?」と、ここでも不思議そうです。
「歪みは疲労や動作の癖が原因なので、癖を気を付けながら継続して歪みを取っていかなければなりません。」
施術後に確認すると、圧痛は少し戻りやすい様ですが、膝の屈伸・ジャンプ時の痛みは取れていました。
圧痛も大腿部の緊張を取り下肢の捻じれを調整すれば、また取れていきました。
次回までの注意事項を説明して終了としました。
鵞足炎もオーバーユースによる疲労性の痛みですが、元々の原因としては下肢の重心の狂いひいては身体の歪みが考えられます。
この歪みがある為に疲労してくると、一部に負担が集中して痛みとなる訳です。
2回目(4日後)
痛みは少し戻っていました。
ジャンプ時の痛み・屈伸時の痛みは少し戻っても、比較的容易に痛みが軽減していきますが、ひざ内側(脛骨内側)の圧痛が取れ難いです。
体幹の循環を高めた後、股関節の可動域を調整し大腿部の筋肉の緊張を緩め、筋肉の癖を取りながら動作法を行ったりします。
ひざ内側の圧痛を確認しながら疼痛誘発動作の要領で、施術ポイントを探っていきます。
内転筋群・縫工筋あたりが悪さをしているようでした。
筋ゆるで緩め圧痛を取った後は、ジャンプ時の痛み・動作時の痛みもさらに取れてくれました。
3回目(2日後)
前回思ったより戻っていたので、(体育の授業で動いたらしいですが)早めに来てもらいました。
今回も屈伸やジャンプ時の痛みは当初の2割くらい残る感じだそうですが、セルフエクササイズで大腿部を緩めていくと気にならないくらいまで軽減してくれるそうです。
しかし脛骨内側の圧痛が残ります。
内踝外踝を締めて挙上したり、足裏のアーチを補強すると、圧痛は軽減しますが安定しずらい様です。
これは鵞足(がそく)と云われる部分よりも少し下で、大腿部の筋肉とは別のメカニズムで痛みが出ているかもしれません。
ここで修業時代のノートを読み返して、おさらいしておいた対角の操法を試してみます。
左下腿部の対角である右前腕部で疼痛誘発動作をかけて、脛骨内側の圧痛を確認してみます。
長掌筋をタッチしたり肘を絞めて動作すると、
「そうしていると痛くないです」
肘関節の操法をしていると脛骨内側の圧痛が無くなりました。
続けて屈伸やジャンプをすると、
「さっきよりも楽です。」と痛みが取れていきます。
筋膜のつながりで言うスパイラルラインなのか、理由は判りませんが、対角って何かあるんですね。
4回目(1週間後)
学校の試験の関係で1週間後になりましたが、この1週間で大幅に症状が改善していました。
ほぼ通常通りの練習が出来るようになり、練習中は痛みも無くなりました。
やはり肘・前腕に問題があったようです。
今回は施術前の検査でも、膝の屈伸痛やジャンプでの痛み、ひざ下の圧痛は確認できませんでした。
体幹の循環を調整した後に、大腿部・下腿部を緩めていきます。
やはり左の大腿部は張りが残りますので、股関節の動作法を行いながら更に緩めておきます。
最後に前回同様、右肘の調整をして終了です。
施術前も痛みは有りませんでしたが、施術後は「すごく軽いです」になりました。
練習後の疲労性の筋肉痛が残りますが、順調な回復を見せていると思います。
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